ICD埋込後の日記

突然の心室細動からICD(埋込み型除細動器)装着後の日々の生活について

埋込まで➃

CCUで一番驚いた経験は、意識が戻って2日目の日曜日に起きた。

午前中に目が覚めた時は非常にテンションが高くて、父からも落ち着けと言われたぐらいだった。とにかく「おもろい」事を言いたくて、自分でも性格が変わったのかと思っていた。

そして妻や父が帰って、となりの病室の騒動が治まった後、さすがに寝ようかと目をつぶると天井の隅から何かがやってきて、天井中を覆っていた。最初はなんだろうと思っていたら、どうも仏像のような鬼の面のような顔が等間隔で並んでいる。恐!っと思って目を開けるとなくなるが、また目を閉じると今度は色んな模様が出てきたり、草原が広がっていたり、子どもがサッカーをしていたり、虹みたいな光景が連続したり、とにかく詳細に具体的に色んなものが浮かんでは、斜めにゆっくり移動していく。あまりに詳細なので、これを絵に書いたら、俺はすごい画家になるかなーとアホなことを考えたりしたが、とにかく目をつぶる度に浮かんでくるので、だんだん気持ち悪くなってきた。

最終的には、これはこの病室で亡くなった人たちの怨念かなーとか、それとも俺をお迎えにきたのかなーと感じて恐ろしくなってきた(思わず、「まだ行きません!もう少しこの世にいます!と叫んでた」)。感覚的には、そのまま一睡もせずに朝を迎えたような気がしたが、実際はある程度、寝ていたとは思う。

明け方にはCCUに新しいスタッフが交代で入ってきて、部屋も明るくなり、忙しい雰囲気になってきたので、かなりホットしたのを覚えている。その夜担当だった若い看護師に、「この部屋すごいお化けがでるね」と言ってみたけど、まったく相手にされなかった。その後やってきた副婦長さんには、「ああ、たまにそういう体験をされたという方がいらっしゃいますね(^-^)」って言われて、「やっぱり怨念( ゚Д゚)」と逆に恐ろしくなった。

次の日には一般病棟に移ったので、もう二度とそんな情景を見ることはなかったけど、今でもあれは何だったのかと不思議に思う。見舞いに来た人に言わすと、「麻酔の影響で躁鬱状態になっていたんだよ。うつ病の人は幻覚を見るらしいしね。」とのことだった。確かに異常なぐらいテンションが高くなってもいたから、そうなんだろう(と思いたい)。ひとつ確かなのは、二度とCCUの世話にはなりたくない!ということ。その後の入院期間も、CCU周辺のフロアーには近づかなかった。